2025.3.25
Homedoorでは相談に来られた方へのアンケートから、困窮者の実態を調査しています。今回、若年困窮者が増えていることから、生育環境に関する調査を実施しました。
ー 生育時の経験が現在の生活へ影響
今回の調査では、Homedoorに来所相談(約340人/年)をされた人に生育環境についてアンケート方式で行いました。特に驚いた数字としては、【10~20代の若年相談者の83%が、生育時に虐待や親の死別や離婚による生活苦などの社会的不利を経験している】です。
中でも数値として多いのが、親の離婚を経験した人からのご相談です。
現在、日本の子育て世帯における母子世帯の割合は約10%、父子世帯の割合は約1.5%という状況です。(令和3年度 全国ひとり親世帯等調査より)
さらに、ひとり親世帯の相対的貧困率は44.5%(令和4年度 国民生活基礎調査より)というデータもあり、多くのひとり親世帯が厳しい生活状況にあります。
そしてひとり親世帯出身の子どもが大人になり困窮状態に陥った時、頼れる実家という後ろ盾がなく、行き場を失い最後の砦としてHomedoorを頼る状況にあります。事実、Homedoorの10〜20代の来所相談者144人に対して行った調査では、親が離婚した人の割合は49.3%(71人)にものぼります。
また、ひとり親世帯で育ったHomedoorの10〜20代の相談者の内、親が再婚した人の割合は40.2%(30人)。これは、全体の20.8%を占めていることになります。
親が再婚してステップファミリーになった家庭の総数に関する統計データはありませんが、一般と比べるとかなり高い確率であると想定されます。
ー頼れる大人、行き場を失ったまま成長した若年層世代
このように、親が再婚したことで家庭内での居場所をなくしてしまう、居づらさを感じてしまうことで、実家に頼りづらい若者がいます。また、再婚した継父や継母、連れ子からの虐待を受けたというケース、妹や弟が生まれ家庭で疎まれるようになったというケースも多々あります。
多感な生育時代を安心できない環境で育った子どもたちは、大人になってもその時の傷を抱えたまま生き続けています。自分の気持ちに正直になれず、やりたいこと、なりたい将来を考える余裕もなく、気づけば大人と呼ばれる世代になり、困っても自己責任。
さらに、Homedoorに相談に来た若者の5人に4人が、「親と連絡が取れない」「取りたくない」と回答しています。連絡が取れない、取りたくない理由はさまざま。親との死別で連絡が取れないケースや、過去の虐待経験などから親への恐怖が拭えず、連絡を取ることができない、取りたくないケースも存在します。
「親に頼るくらいなら、ホームレスになる」
そう言わしめてしまう、生育環境がそこには存在しているのです。
このように生育格差を抱えた若者たちは、大人になってもメンタル不調を抱え、仕事が長続きしない、頼れる人がいないという課題を抱えています。そのため、メンタルケアも含めて長期で関わりを持ちながら、就労面や生活面でのサポートをしていく必要があるということが、Homedoorの15年の活動の中で見えてきました。
そんな若年困窮者問題に取り組むため、Homedoorでは2023年度より長期で支援ができる宿泊施設「アンドベース」を開設しました。ゆっくりじっくり関わる中で、就労支援や生活支援、カウンセリング等を行いながら、ここでひとりでも多くの再出発に寄り添いたいと思っています。
そんな新施設「アンドベース」の運営費を集めるために、クラウドファンディングに挑戦中です。ぜひクラウドファンディングへの応援もよろしくお願いします。